結論から言うと、ホームページを自社の資産にするには、契約で「著作権の扱い」「データ・ソースの納品」「ドメイン・サーバーの名義」を明確にしておくことが重要です。ここを曖昧にしたまま進めると、後から改変や乗り換えができない、データを引き渡してもらえない、といったトラブルにつながります。
この記事では、これからホームページを発注する中小企業・個人事業主の方に向けて、知っておくべき権利の基本を整理します。なお、本記事は一般的な考え方の解説です。重要な契約や個別の判断に迷う場合は、弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
「作ってもらったサイト」は誰のもの?
意外に知られていませんが、著作権法では、契約で譲渡を定めない限り、制作物の著作権は「制作した側(制作会社やデザイナー)」に残るのが原則です。つまり、費用を払って納品を受けても、それだけで著作権が自社に移るわけではありません。
著作権が制作会社に残っていると、次のような場面で影響が出ることがあります。
- デザインや文章を大きく改変したいとき、許諾が必要になる
- 別の制作会社に修正やリニューアルを頼みにくくなる
- 同じデザインを他の媒体(チラシなど)に流用しづらい
こうした「縛られる」状態を避け、自由に活用するために、契約での取り決めが大切になります。
契約で押さえるべき権利とデータ
納品後に自社の資産として自由に扱うために、契約で確認・明記しておきたい主な項目を整理します。
| 項目 | 確認・明記したいこと |
|---|---|
| 著作権の譲渡 | 納品時に著作権を自社へ譲渡するか。譲渡する場合は、翻案権など(著作権法第27条・第28条の権利)も含めて譲渡する旨を明記する |
| 著作者人格権 | 著作者人格権は譲渡できないため、「行使しない」という取り決め(不行使特約)があるか。これがないと改変時に問題になる場合がある |
| データ・ソースの納品 | HTML・CSS・画像などの元データやソースコードを、どこまで引き渡してもらえるか |
| 素材の利用範囲 | 制作会社が用意した写真・フォントなどを、どの範囲・期間まで使えるか |
| ドメイン・サーバー名義 | 契約名義とログイン情報が自社にあるか(乗り換え時の必須条件) |
特に、将来的に他社へ引き継ぐ可能性を考えるなら、著作権の譲渡(第27条・第28条を含む)と、著作者人格権の不行使はセットで確認しておくと安心です。
写真・イラスト・フォントなど素材の権利
サイトに使われる素材にも、それぞれ権利があります。制作会社が用意した素材は、第三者が権利を持つ有料素材や、利用範囲に条件のあるものが含まれることがあります。
- 写真・イラスト:ストックフォトなどは、利用できる媒体や期間に制限がある場合があります。
- フォント:Webフォントは契約(ライセンス)に基づいて使うもので、解約後に使えなくなることがあります。
- お客様支給の素材:自社で撮影・作成した写真や文章は、権利関係が明確で安心です。可能な範囲で自社素材を用意するのも一つの方法です。
「どの素材が、どこまで自由に使えるか」を、契約や納品時に確認しておきましょう。無断で他の用途に使うと、権利侵害になる恐れがあります。
保守・乗り換え時のトラブルを防ぐ
実際にトラブルになりやすいのが、制作会社を変える(乗り換える)ときです。次の点を最初から押さえておくと、いざというときに困りません。
- データとログイン情報の所在:サイトのデータ、CMS・サーバー・ドメインのログイン情報が自社で管理できているか。
- 著作権の扱い:改変・移管に許諾が要らない状態になっているか。
- 解約条件:解約時にデータを引き渡してもらえるか、費用や手続きはどうなるか。
ドメイン・サーバーの名義については独自ドメイン・サーバーの選び方|ホームページ制作前に知っておきたい基本、保守や移管の考え方はWordPress保守の内容・費用|外注前に確認したい範囲と選び方もあわせてご覧ください。
契約前に確認したいチェックリスト
発注前・契約前に、次の点を確認しておきましょう。
- 著作権を自社へ譲渡するか(第27条・第28条を含むか)
- 著作者人格権を行使しない取り決めがあるか
- 元データ・ソースコードを引き渡してもらえるか
- 写真・フォントなど素材の利用範囲・期間
- ドメイン・サーバーの契約名義とログイン情報が自社にあるか
- 解約時のデータ引き渡し・手続き・費用
これらを丁寧に説明してくれる制作会社は、発注者を囲い込まない、誠実なパートナーである可能性が高いといえます。逆に、権利やデータの扱いを曖昧にする場合は注意が必要です。制作会社の見極め方はホームページ制作会社の選び方|失敗しない比較ポイントと契約前の質問15項目をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
制作してもらったホームページは、納品されれば自由に使えますか?
「納品」と「著作権が自社に移ること」は別です。著作権法では、契約で譲渡を定めない限り、著作権は制作した側に残るのが原則です。改変や他社への移管を自由に行いたい場合は、契約で著作権の譲渡などを明記しておく必要があります。
著作権は必ず譲渡してもらうべきですか?
将来、他社に修正を頼んだり、自社で自由に改変・活用したい場合は、譲渡を受けておくと安心です。譲渡の際は、翻案権など(著作権法第27条・第28条の権利)も含めて譲渡すること、あわせて著作者人格権を行使しない取り決め(不行使特約)を入れることを確認します。
別の制作会社に修正や引き継ぎを頼めますか?
頼めますが、著作権が元の制作会社に残っている場合、改変に許諾が必要になることがあります。加えて、ソースコードやデータ、ドメイン・サーバーのログイン情報が引き渡されているかも重要です。契約時に、著作権の扱いとデータの納品範囲を明確にしておきましょう。
サイトに使われている写真やイラストは自由に使えますか?
素材によって異なります。制作会社が用意した写真・イラスト・フォントは、第三者が権利を持つ素材(有料素材など)の場合があり、利用できる範囲や期間に制限があることがあります。どの素材が、どこまで自由に使えるかを契約や納品時に確認しておきましょう。
契約書のどこを確認すればいいですか?
主に、著作権の帰属・譲渡の範囲、著作者人格権の扱い、納品物(データ・ソースコード)の範囲、素材の利用条件、ドメイン・サーバーの名義、保守や解約時の対応です。重要な契約や判断に迷う場合は、弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
まとめ
ホームページを本当に「自社の資産」にできるかどうかは、契約での権利とデータの取り決めで決まります。著作権の譲渡(第27条・第28条を含む)と著作者人格権の不行使、データ・ソースの納品、そしてドメイン・サーバーの名義。この3点を押さえておけば、将来サイトを見直すときも自由に扱えます。権利やデータの扱いを丁寧に説明してくれるかは、信頼できる制作会社を見分ける大切なポイントでもあります。
権利もデータも「自社の資産」になるホームページをご相談ください
ウェブサイでは、著作権・データ・ドメインの扱いを明確にし、お客様が安心して長く使えるホームページをご提案します。今の契約が不安な方の、確認のご相談も歓迎です。


